君はとっくに知っていたね。
この国がやがて破滅に向かうことを。
多くの兵士は万歳を叫びながら消えて行った。
たとえ自分は消えてもこの国の勝利は疑わなかった。
君は違った。
君だけはこの国の滅亡を正確に予測していた。
そして君はそれを知りながら敵地に向かった。
時は流れた。
滅んだところに新しい国が誕生した。
かつて砲弾と炎に覆われたこの地は、今は花と緑に彩られている。
その静寂の背後には、無数の声なき声が響いている。
他国の定めた掟によって平和が実現された。
一切の武力を放棄し、過去の過ちを戒めることが求められた。
君はたしかに現在にも生きている。
おそらく何千万の兵士たちとともに。
しかしあまりに時は流れすぎた。
君の中で燃え盛っていた炎が今は消えかかっている。
傷跡が癒えぬうちに、新たな傷口を開こうとする声が聞こえる。
その声に耳を傾ける者は多い。
しかし希望は残されている。
生まれ変わった国で再び君の炎を取り戻すべきときは来た。
けいとさん、こんにちは。
「炎」は平和の比喩かなぁと思うと、「君」の切なくも強い想いに
胸が締め付けられます。