彼は生きると同時に死んでいた。
むしろ死にながら生きていたのかもしれない。
彼は孤独でありながら多くの交流を楽しんでいた。
目覚めながら同時に眠ってもいた。
むしろ眠りながら目覚めていたのかもしれない。
家族は彼が起きているところを見たことがなかった。
また彼が仕事をしない日も見なかった。
彼は非常に年をとっていた。
それと同時に非常に若かった。
ある人は彼は成熟していると言った。
ある人は彼は精力的だと言った。
彼は言った。
生きることと死ぬことは、同じひとつのことである。
眠ることと目覚めることも同じひとつのことである。
年をとることと若くあることも同じひとつのことである。
そこに差異を想像するのは常に人間の課題である。
存在しないものを想像し続けて語りついでいるに過ぎない、と。
そして彼はいつまでもただ存在し続けた。
生きると死
孤独と交流
眠りと目覚め
「そして彼はいつまでもただ存在し続けた。」
人間だれしも「存在と差異」に翻弄される事ってあると思うのです。
UUXも何回もあります。そんな中で作者の詩を拝読させて頂きUUXなりに感じた事は
相違(一定の基準をもとにして複数の事物をくらべる)...をもって「差異」(複数のものを相互にくらべたときの異なる部分)を表現された作者の心の揺らぎのようなものを感じました。その中で、家族ではなく作者ご自身の存在を再確認された事。それは作者の生き抜こうとする意志表示でもあるように感じました。素敵な詩だと思いました。。