賢くて大きい白い犬を連れて、きみと浜辺やアスファルトを駆けた
きみを助手席に乗せて 青い海を横目に高速道路を走った
「かわいい」とか「きみが生きてるだけでうれしい」だとかの、
ずっとずっと言いたかった、優しいだけの言葉を投げかけた
そうするうち、気づけば僕の口調はきみに似ていて
それが こそばゆくて誇らしかった
ご飯の時間になって、きみと一緒に父に呼ばれた店へ入った
ほら、きみと一緒にいられるだけで僕はこんなにもうれしい
僕はきみのことを父に知って貰いたくて一生懸命に伝えたけど、
父は怪訝な顔をしていた
きみの仕事のことを知っているみたいだ
「でも、本当に素晴らしい人なんだよ」って嚙みついたら、
ちょっと来いって店の外に連れ出された
ものすごく
嫌な予感がして
「お願いだから」「分かっているから言わないで」
と、僕は父にしがみついて懇願した
僕は
本当は、
うっすらと分かっていたみたい
今、
絶望の一秒前にいること
世界が終わってしまうような一言を、
父が言おうとしていることを
だめだ
「彼女はただの楕円なんだよ」
その瞬間、彼女の体はほどけて、ショッピングモールのやすっちいチューブマンになってしまった
終わり
横断歩道さん、こんばんは。
甘くて、ちょっぴり切ない恋の話かなーって読んでいったら .... デッドエンドだなんて! 悲し過ぎるSFじゃないか、これ! 君の、人生に起った何かを象徴してみたの?!