あの人は化け物です。常にハキハキと喋り周りを笑かしている。
あの人は化け物です。口角は下がること無く背筋は天に引っ張られ続けている。
ある日誰かが「気味が悪い」とあの人に言いました。私にはこの人も化け物に見えました。
その場はしんとして誰一人言葉を発しませんでした。擁護も、同調も、非難も、憤怒もありません。
ちょっと気まずくなり「言い過ぎでないの」と発してみたら、あの人がこちらをちらと見、その場から出ていきました。あの人は終始、化け物でありました。
気にかかりあの人を追いかけました。あの人は、泣いていました。人間のように、それでもどこか化け物じみた静かな涙です。「君が泣かしたんだよ。」あの人は天に見放された背で、コロンと言いました。ただ顔は、笑っていました。柔い日射しのような顔に私も涙が込み上げて来て、「それは、悪いことだったかしら?」と答えながら、そっと、あの人に寄り添いました。
化けの皮が剥がれたあの人は、血が流れているだけの歪な人形でした。
如月 朔様
あなたの詩を拝読させていただきました。
ロバート・デ・ニーロが演じました
「フランケンシュタイン」を思い浮かべました。
誰もが個性的な、ただの人なのですね。