僕は思っていた 「なんで僕ばかり」と
幸福そうな人を見てうらやんだり妬んだり
自分の境遇や身に降りかかる不幸を誰かのせいにしたり
「いつ死んでもいいや」なんて思うこともあった
そんなことを思っていると、ふわふわしたものがすり寄ってくる
尻尾を立てた君だ
そして僕の顔を不思議そうに(僕にはそう見える)覗き込んで「んん~?」とひとこと
「どうしたんだい?」と僕に問うように
僕はつい話しかける「なんで僕ばかり」と
君は言葉を持たないけれど、まばたきを何度かしてくれる
「人間は厄介だね、だからぼくは猫に生まれたんだ」
「君も猫になるかい?」
僕にはそう聞こえたような気がした
僕がまばたきを返すと、君はまた何度かまばたきをする
「人間にはぼくたちにはない知恵や言葉があって、いろんなことを考えたり伝えたりできるよね」
「でもね、それをぼくは羨ましいなんて思ったことはないんだ」
「だって、それは人を傷つけたり欺いたりできるからね」
そう言うと、君は僕の膝の上で丸まって気持ちよさそうに眠ってしまった「どうだい、羨ましいだろう?」とでも言うように
君の呼吸に合わせて小さく上下するふわふわの背中を見ていると、なんだか少しほっとしていた
ゴロゴロとバイクのエンジン音みたいな不思議な音を立てながら眠る君の顔は、とても幸せそうに見えた
「僕もそんな顔で眠れる日が来るかな?」と心の中で問いかけると
君は薄目を開けるだけでまた眠ってしまった
暖かいコメントありがとうございます。
猫と接することで心が浄化される気がしています。これからもそんな関係を大事にしたいですね。