影に囚われた羽は
藻掻き苦しんでいた
闇に囚われた過去が
冷静な思考を奪う
疲れた羽は動きを止めた
相変わらず影は鎖のように
体に巻きついたままだった
羽は一旦落ち着くことにした
ふと目の前を見ると
木に太陽の光が当たり
木陰で小動物が身体を
休めているのを見た
それを見た羽は思う
影がもし邪悪ならば
警戒心の強い生き物が
その下で休むだろうかと
鎖のようなこの影も
邪悪ではないかもしれない
では何の目的で縛るのだろう
羽は鎖を観察することにした
引き留めようとしているのか
空に飛び立ち再び傷つかないように
羽を守ろうとして鎖のように
巻き付いてきているのだろうか
羽はそっと影に話しかける
誤解して申し訳なかった
守ろうとしてくれてありがとう
影の存在を否定せずに認めよう
無理をしないで休むと約束しよう
だからどうか安心してほしいと
影のような鎖は一旦震えると
鎖の姿から羽の影の姿に変わり
羽の後ろにピタリとついた
羽は影を見て優しく笑うと
軽く身体をゆっくり伸ばし
近くの木陰で休むことにした
影が必死に止めなくて済むように
空を飛ぶのはそれからでいい
〜作者より〜
最初に投稿した内容から編集しました。
最後が二重になった状態で投稿してました。
最初にお読みくださった皆様失礼しました。
翼との会話的な進行が無理なく心に伝わって来ました。
影の敵愾心の無さや優しさを小動物の登場で表現している所が好きです。
自分自身との対話を聞く様で、自分を一番知っているのは自分だと思っているけれど
意外と自分自身を知らないのかもと鎖の様な影から知れた様に感じました。
頑張ってる自分自身を認めて労わる事も必要ですね。素敵な作品でした。